「アールヌーボー」と「アールデコ」の違いを徹底的に解説!!

アールヌーボーやアールデコ、耳にしたことはあるけど具体的な違いは分からない。
年代や、デザインの特徴を分かりやすく知りたい。
上記の疑問を持っている方のために、「アールヌーボー」と「アールデコ」の違いを分かりやすく解説いたします。
アールヌーボーとアールデコの違い
19世紀末から20世紀はじめに流行したものが「アールヌーボー」
アールヌーボーとはフランス語で「Art nouveau」と書き、
「Art」が「芸術」、「nouveau」が「新しい」で、「新しい芸術」という意味です。
アールヌーボーが衰退し1910年ごろ~1940年ごろまで流行したものが「アールデコ」
アールデコもフランス語で、「装飾美術」という意味です。
アールヌーボーの特徴
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- 年代: 19世紀末~20世紀はじめ
- 流行発信地: ヨーロッパ(イギリスが起源であり、ベルギーやパリ)
- モチーフ: 花や植物などの有機的なモチーフ
- デザイン: 自由な曲線と組みあわせたと装飾的なデザイン
アールデコの特徴
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- 年代:1910年~1940年
- 流行発信地:ヨーロッパやニューヨーク(マンハッタン)
- デザイン:幾何学的な線とパターン化された模様
- モチーフ:パターン化されたモチーフを装飾
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アールヌーボーとは
アールヌーボーが始まった歴史的背景とは?!
産業革命において機械化が進んだために、均一化された、質の良くないものが大量生産され出回りました。
これに対して、「これでは、職人の持っている技が活かされない、生活に味気なくなってしまう」という考えをもち、生活に工芸品や美術を取り入れようという運動がおこります。
これがアーツ・アンド・クラフツ運動です。
アールヌーボはこの、アーツ・アンド・クラフツ運動が発展して生まれたスタイルとなります。
アールヌーボーのデザイン
アールヌーボーのモチーフは、花や昆虫などの、有機的な自然のものでした。
それらを自由な曲線と組み合わせて、装飾的なデザインを編み出したのです。
アールヌーボーの新しい点とは、それまで、工芸は美術に劣ると考えられていたのですが、くつがえすような考え方を持っていたことです。家具や建築、食器、ステンドグラスといった工芸、また、グラフィックアートといった商業ポスター、ジュエリー、室内装飾を含める総合芸術だったのです。
アールデコ 柄 を含めて解説
アールヌーボーの建築
アールヌーボーの建築は、花や、葉、ツタ、昆虫などの自然のものをモチーフにした、有機的なデザインが多いのが特徴です。
場合によっては、有機的なデザインを抽象的に簡略化させ、自然を連想させるような自由な曲線によるデザインで表現されることもありました。
金物工芸を組み合わせることにより、門扉、階段の手すり、天井など、アールヌーボーならではの個性的で華やかな模様で装飾されています。
「鉄」は、当時アールヌーボーの素材としては新しく、鉄を取り入れることにより、繊細で柔らかく自由な曲線を表現することが可能になったのです。
鉄以外にも、砂岩、レンガ、タイル、ガラス、鉄など、素材の違うものを組み合わせる方法もよく使われました。
アールヌーボーの絵画
アールヌーボーの絵画で有名なものは、画家アルフォンス・ミュシャの絵画です。
ミュシャはポスターや、装飾パネルを多く製作しました。女性の姿を描くものが多数あります。
それらは、星や花などとともに、寓話的に表現されています。
特徴は、流麗な曲線美。
アールヌーボーの工芸
アールヌーボーを代表する工芸家としては、エミール・ガレが挙げられます。
多数のガラス工芸品や、陶器、家具のデザインの制作で有名です。
エミール・ガレの作品の特徴として、花やきのこなどの植物や、トンボや蝶などの昆虫をモチーフとた作品を数多く制作しています。
エミールガレのガラス工芸品や花瓶は繊細で美しく、日本でもコレクションされている方が多くいらっしゃいます。
アールヌーボーの作品
アールヌーボーの代表作としては、次のようなものが挙げられます。
・建築家エクトール・ギマールによるパリ地下鉄の出入り口の装飾
1900年のパリ万国博覧会のときに開通したパリの地下鉄の出入り口のデザインをギマールが、設計し、デザインしました。
ガラスや鉄を用いた、その斬新的なデザインが注目を集めました。
・アルフォンス・ミュシャのポスター
『ジスモンダ』『黄道十二宮』『四季』などが代表作です。
・ルイス・カムフォート・ティファニー
宝飾品のデザインもしていました。
『ティファニーランプ』と呼ばれる、ステンドグラスを使ったランプが有名ですね。
『フジテーブルランプ』
・ルネ・ラリック
宝飾品のデザインもしていましたが、香水瓶にとりつかれ、ガラス工芸品を熱心に製作するようになりました。
ラリックが生涯で作った香水瓶は500種類以上になります。
アールヌーボーのファッション
アールヌーボーと日本
アールヌーボーは日本の影響を受けています。
アールヌーボーの始まる少し前に、日本はペリー来航によって、鎖国から開国となりました。
それにより日本の製品が海外へ輸出されるようになったのです。
その際に、輸出された日本の陶器を包む、包み紙に浮世絵が描かれていました。
浮世絵の表現方法や、色彩方法に、深く感銘を受けたエミール・ガレや、ルネ・ラリックらが日本のジャポニズムから多大なる感化をされたのです。
その後、アールヌーボーは逆輸入という形で日本にも影響を与え、雑誌「明星」の表紙(藤島武二)や夏目漱石の作品などにもアールヌーボーを感じさせるデザインがしようされています。
日本でアールヌーボーを感じられる場所
・三越本店の内装と、1階吹き抜けホールにある「まごころ」という題名の彫刻
・銀座ソニービル地下街のレストランマキシムの内装
・銀座のバー、ボルドーの外装と内装
・北九州市の辰野金吾作の建築物、旧松本健次郎邸(現西日本工業倶楽部)
アールデコとは
アールデコのデザイン
華麗で曲線的なアールヌーボ―のスタイルが流行っていたなかで、近未来思考の芸術家たちは、さらにアールヌーボーの反動ともいえるスタイルを模索し始めました。
アールデコのデザインの特徴は、直線的で、幾何学的。
都会のショービジネスを思わせる、きらびやかなグラマラスさはエジプト古代文明の影響を受けていました。
また、未来的なスマートでスタイリッシュさは、当時急成長した、ハリウッドを反映していました。
メタリックとモノトーンの組み合わせや、ジグザグのラインが代表的なデザインです。
その他にも、アステカ文化、東洋のオリエンタルスタイルの影響も受けています。
アールデコの建築
1920年代~1930年代にニューヨークに建てられた、「ニューヨークの摩天楼」である などのビル群は、アールデコ建築の代表的なものです。 1920年代の、アールデコ様式の影響を受けたファッションのことを言います。 直線的で、幾何学的な特徴が、ファッションにも取り入れられました。 その代わりに、単純な線と形からなる、幾何学模様や、様式化された花や動物などの具象的なモチーフが現れました。 アールデコのインテリアは、エジプトのデザインの影響を受けたイギリスや、ドイツやオーストリアの様式がベースになっています。 アールデコが日本の文化、芸術面に影響を及ぼし始めたのは、1926年以降と考えられています。 日本の昭和初期には、アールデコの様式を取り入れた、資生堂などのパッケージのデザインがあります。
アールデコのファッション
フランスでは、1900年代、コルセットを装着して、流れるような曲線美を表現したアールヌーボーのファッションに代わって、アールデコのファッションでは、コルセットを使わない、ローウエストの膝丈のドレスが流行しました。
アールデコの平たんで直線的なシルエットは、ジャポニズムの影響から、和服である着物の裁断法が取り入れられていました。
機能的でシンプルなものが好まれたのです。例えば、服の表面の、リボン、レース、フリルといった装飾品が取り払われました。
アールデコの家具とインテリア
アールデコの家具は、光沢のある塗装がなされたウオールナットやローズウッドというベニヤ板でできたものがリバイバルします。ミラーやメタルの素材を取り入れたモダンなデザインが特徴です。アールデコと日本
アールデコの日本への影響は、現代の建築物やデザインの中に多く見られます。
建築物では、聖路加国際病院、山の上ホテルの旧館、朝香宮廷などです。まとめ